スペインにてピアノを弾いた時の話です。
ずっと笑顔で耳を傾けてくれていた
一人の女性がいました。
並な演奏なのに、、
めちゃくちゃ聞いてくれるじゃん、嬉しいな、、
とか思いながら弾いていると
急に近づいてきて、後ろからぎゅっとされました。
突然すぎたので
驚きを隠せない自分がそこにはいたんですが
彼女はカバンからおもむろに
くしゃくしゃになった一枚の紙を出しました。
そこには、男性指揮者の写真と
2フレーズくらいの短い楽譜が載っていました。
きっとコンサートのパンフレットのようなものです。
スペイン語なので詳しくはわからないんですが
ジェスチャーと、単語単語の英語で
どうやら
去年亡くなった旦那さんだということがわかりました。
そこに載せられた楽譜は
旦那様が作った曲だということもわかりました。
おそらくですが
弾いてみてという手振りをしてるように見えたので
メロディーラインを弾いてみると
それに合わせて、彼女は歌を歌い始めました。
彼女自身がプロなのかどうかは定かではありませんが
亡くなった旦那様の曲をよく歌っていたようで
いろんな感情を思い浮かべながらなのか
涙ぐみながら歌ってくれました。
胸に手を当てながら
『ありがとう』と何度も言ってくれた姿が
ほんとになんとも言えなくて
もらい泣きしそうになりながら、何回かハグをし
最後は記念に写真を二人で撮ってもらってから
お別れしました。
突然の出来事だったので
なんという指揮者だったのか
なんという曲だったのか
まるで覚えてないのが悔しいですが
このことは、絶対に一生忘れません。
例え言葉が通じなくたって
音楽には
人を引き寄せたり通じ合わせたり、と
そんな力があるんだなと改めて思える
特別な日になりました。
santuario 響
響の写メ日記
-
音楽って改めて、いい。響
