赤ん坊がすくすくと日に日に育ってゆくように
急斜面をぐんぐん駆けあがるように
その出会いには加速力があった。
山あり谷ありとはよく言ったものだけれど
昨日の自分が嘘のように
今日は笑えるようになっていた。
駆け上った角度ある坂道も
いつの間にか気づくと
見晴らしの良い平らな場所になっていた。
少しのでこぼこはあったとしても
気にならないくらい平坦に思えた。
このままここで過ごす姿を
密かに夢見て涙するほどに。
やがて下る時がきた。
てっぺんにある
まっすぐな場所で過ごした安らかな日々を終え
急斜面を駆け降りた。
誰が悪いわけではないけれど
なんの罰を受けてるのと言いたくなるほどに
坂道が急に思えた。
降りながらふと考えた。
『こんな気持ちになるくらいなら
登らなかったらよかったんじゃないか』と。
確かに今はそう思えるかもしれないけれど
登る角度と降りる角度は一緒ではないか。
勢いよく登ったあの時のように
また何かを始めるために
人はまたここを降りて行くのかもしれない。
どんなに急斜面でも
"思い出"という道具があるから心配いらない。
泣きながら降りたとしても
笑いながら降りたとしても
下り坂は下り坂なのかもしれないけれど
それがあるから降りていける。
今は道具のように
頼ってしまうような思い出でも
いつの日かそれが
ビンテージだよねと笑える日まで。
santuario 響
響の写メ日記
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出会いは台形のよう。響
