野良ねこを見つけるとつい追いかけたくなります。これはある種のくせというか、病なんでしょうか。
自分で飼ったことはないのですが、昔住んでいたところの近くに野良ねこ一家がおりまして、偶然その子たちと出会ったときはしばらくそこに通っておりました。母親のねこ、それから4匹の子どもたちがおりまして、それがまあかわいかったわけです。
僕はねこの餌と水なんかを買い、100均で食器をいくつか集め、ほとんど毎日行って餌をあげておりました。近隣住民からの視線を掻い潜り、餌をあげ、幼いねこたちとじゃれ合っていました。その行為があまり好ましいことではないと重々承知していたのですが、腹を空かせているであろう野良ねこたちを見ると、無視することができませんでした。お金もなく安アパートに暮らしていたものですから飼うこともできない。保護して譲渡する選択肢も知らなかった。世間知らずの僕は、ただただ、せっせとねこたちに餌をあげることしか思いつかなかったのです。
世間の考える正しいことが自分にとっては間違っていると感じ、世間の考える間違っていることが自分にとっては正しいと信じたくなることがけっこうあります。ふと思ったのですが、自分が今やっている仕事も似ている気がします。ですが、必要としている人がいるなら、その人のために頑張りたい、そう思うわけです。