おはようございます。
帝のリヒトです。
僕は漫画が大好きで、人生の大切なことは大体漫画から学んだタイプなのですが、そんな僕のバイブルの一つ「MASTERキートン」の中から、一生忘れられないだろう、と感動した話をご紹介します。
MASTER OF LIFE(人生の達人)をテーマに、「考古学者」「探偵」「元SASサバイバル教官」など、様々な顔を持つ主人公の平賀=キートン・太一の活躍と共に、話ごとに登場する魅力的な人々のドラマも描かれている漫画です。
第4巻 『喜びの壁』より抜粋します。
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それはスコットランドのフィオン村に遺された、修道院跡に存在する壁である。
聖フランチェスコが築いたその壁は、弟子達に静寂と安らぎを与えるために設けられ、“喜びの壁”と呼ばれていた。
その村に住むドナルド・ベインは4年前、最愛の妻を亡くし酒に溺れる日々を過ごしていた。
ある晩、ちょっとした気まぐれから “喜びの壁”を訪れると、その壁の前には一人佇む修道士のライアン。
ベインはライアンに自らの苦悩を打ち明ける。
「全てを分かり合える女だった。彼女が死んだら、生きていけないと思っていた。ところが、どうだ。一晩、亡き骸にすがり悲しみにくれた後、自分は平静を取り戻し、普通に食事し、眠り、時には笑いさえした。結局、俺は自分が死ぬこと以上に悲しいことなどない、卑しい人間なのだ」
己は冷酷な人間だと責めるベインにライアンは語りかける。
「人間はひとりひとりが孤島である。他人の心など分かるはずもない。あなたが奥さんを愛していたのは本当のことだ。それは、あなたの中にあるからだ。でも、奥さんがあなたと同じ思いだったかは分からない…。ましてや、分かり合っていたなんて幻想にすぎない」
「人間は一生、自分という宇宙から出られはしない。自分の中に描いた他人と共に暮らし、ドラマを作り、泣き、悲しみ、死んでゆく…」
「神に仕える身のあなたが、そんなことを…。真実だとしても、それは悲しいことですね」
そうベインが呟くと、最後にライアンは夜空に浮かぶ満点の星たちを眺めながら、こう言った。
「しかし、人間は、この宇宙よりもずっと広大な宇宙を持っている。あるいは、私の言ったことの方が幻想で、本当は人間の心は通じ合っているのかもしれない」
「どうしたら、本当のことが分かるのでしょうか」とベインは尋ねる。
「聖フランチェスコのように奇跡を見るしかない。そう、私も見た奇跡を。奇跡は起こる。4年後の5月3日、再びこの場所で…」
翌年、静かに息をひきとったライアンが予言したその日こそ、今日だった。
ベインは現地で出会ったキートンと家出少年の3人で、その夜“喜びの壁”に集まった。
ベインは囁いた。
「俺達は、どうしてこの壁に惹かれるのだろう」
キートンも頷き、“喜びの壁”の不思議な魅力について語り合う。その壁を見ていると、なぜか奇跡が起こることをすんなりと信じられた。
程なくして、辺りは不思議なほどの静寂に包まれた。すると、鹿やウサギ、鳥たちが“喜びの壁”へ次々に集い、周囲を取り囲み天空を仰ぎ見た。
動物たちが見上げる先、そこには自然の神秘としか言いようのない「オーロラ」が、“喜びの壁”から立ち昇るように空一面へ広がっていた。
眼前に現れた奇跡に圧倒され、深く感動しながらベインは呟いた。
「俺たちは一人で生き、一人で死んでゆく… だが、この一瞬、この場にいる生き物だけは自分という宇宙を抜け出して… 同じことを感じている」
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この話の核となる「人間は一生、自分という宇宙から出られはしない」という、修道士ライアンが悟った哀しくて切ない真理。
しかし、荘厳な光景を目の前すると、人も獣もなく、生きとし生けるもの全てが同じ感動を共有し、ひとつになる瞬間がある。
それこそ修道士ライアンが語った真理をも超越する奇跡だった。
この話を始めて読み終えた時、心が震え上がりました。
『人は分かり合えない』という考えは哀しいけれど、その奇跡を味わえる可能性があるならば、人生捨てたものではないな、と当時中二だった僕は感銘を受け、気がつくと残りの巻数を揃えにBOOKOFFへと自転車を漕いでいました
奇跡のような絶景だけではなく、音楽や芸術作品などでも感動の共有はでき、自分の宇宙から飛び出していけるものだと僕は思います。
皆さんは最近何かで感動しましたか?
今まで殆ど触れてこなかったSNSを見ていて最近思うのは、人間関係に疲れきっていて病んでそうな方が多いな、という印象で、、
そういう時にこそ、心震えるような感動の共有があれば、自分の中の宇宙を飛び出すことが出来るのではないか、と綺麗な景色をみた時にふと思った次第です。
ちょっとスピってて長々とよくわからない話になりましたが、何が言いたいかというと、
僕も含め、色々と悩み込まずにもっとハッピーに生きたいですね!ということです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
おやすみなさい。
リヒト
リヒトの写メ日記
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『人は分かり合えない』リヒト