禅BOOKS第2弾は、日本を代表するフランス料理のシェフの回想録です。
タイトル:調理場という戦場「コート・ドール」斉須政雄の仕事論
著者:斉須政雄(「コート・ドール」オーナーシェフ)
斉須政雄シェフは10代の頃から料理人を志し、23歳で渡仏します。
今では多くの日本人の料理人がフランスで切磋琢磨していますが、インターネットも存在しない1970年代のパリに、1人の若者が立ち向かっていきます。
若き斉須シェフは、異国の地でさまざまな理不尽と戦いながら、逞しく成長していきます。
やがて、パリの一流レストランで料理長を任されるなど揺るぎない信頼を獲得し、伝説の3つ星レストラン「ランブロワジー」を立ち上げます。
フランス料理の本場で、アジア人が料理長となり現地でお店を立ち上げるという偉業は、言うまでもなくものすごいことです。
この本は飲食店業務に限らず、仕事に対する姿勢や真摯に夢を追いかける屈強な人間の姿を学ぶことができます。
また、斉須シェフの誠実さと素直さ、忍耐力、コミュニケーション能力には圧倒させられます。
何かに行き詰まった時、自分を見失いそうな時に、自身を奮い立たせてくれる熱い一冊です。
斉須シェフは帰国後、白金高輪に「コート・ドール」というレストランを立ち上げました。
現在、斉須シェフは70歳ですが、今でもコート・ドールの厨房に立っています。
私は過去に2回、コート・ドールで食事をしたことがあります。
当店もプロ集団ですが、コート・ドールもプロ集団です。
ソムリエやサービスの方々の穏やかな口調に心が落ち着き、優雅な所作に見惚れてしまいます。
エレガントでありながら華美過ぎず、心が温まるホスピタリティがあります。
本当に勉強になります。
前菜のスペシャリテに「赤ピーマンのムース」があります。
こちらがもう感動的な美味しさです。
一度食べるとなかなか忘れられません。
思い出す度にニヤついてしまいます。
この小さな一皿に、斉須シェフの苦労や情熱が詰まっていると思うと泣けてきます。
大切な方と一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
禅の写メ日記
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禅BOOKS #2 調理場という戦場禅