vol.140『実樹のドZINE』
天の川は枯れた。
せっかく綺麗だったのに?
違う。
どんなにキラキラ輝いてたとて俺らの"障害"になるものは全て美しくないんだよ。
だからあんなもん枯れてよかった。
彦星に一言、言ってやりたいのは織姫のことが本当に大切なら船でもイカダでもクロールでも犬かきでも手段はなんでもいいから後先考えずに天の川に駆け出したんじゃねえのか?って。
一年に一度、行儀良く会うことでお前の情熱は表現できてんのか?
満たされてんのか?
織姫のこと欲してるんじゃねえのか!
溺れて引き返してもいいんだよ。
笑う奴がいたなら俺がぶん殴ってやる。
俺はお前を笑わない。
遠くまで見通せる双眼鏡を織姫にアマのかわゾンで送らつけてやる。
きっと毎日、川に飛び込む彦星のことを眺めて、心配して、無事を確認して、微笑んでるだろう。
もっとみっともない男になれよ。
な?
短冊の願い事は全て燃やす。
「なんでそんなことするの?」って涙ぐむ子供たちに俺はこう言ってやるよ。
「笹の葉なんてパンダの餌にてめえの願いを託すんじゃねえ。鉛筆を手にしてこの世に文字として表明した時点でお前のそれは願いじゃねえ。未来だ。この火は狼煙火。じっと眺めてみ?でけえお前が見えてくるだろ?火が消えるまで今夜は語り明かすぞ」
芯さえ喰ってれば子供は物分かりがいい。
きっと納得してくれる。
短冊キャンプファイヤーでマシュマロでも焼きゃいい。
その方が楽しいぜ。
面倒くせえのは大人だな。
保育園の先生、幼稚園の先生、小学校の先生、教頭先生、校長先生、文部科学大臣、すべての教育者がまとめて俺に襲い掛かってくるだろうな。
いいぜ。受けてたってやるよ。
子供の頃はクラスでも超がつくほどの問題児。
ついたあだ名は「鮮血のアライグマ」支給された体操着を2日で真っ赤に染めてやったよ。赤い服と洗ってな。
行儀よく真面目なんて出来やしなかった。
きっと今夜、アパホテル・アマノリバーサイド店のスイートルームに忍び込んだら、織姫が脱ぎ投げた真っ赤な羽織があるはずだ。
頭の固い大人ども。
まずは校長からボコボコにして、脱がす。
あんたのクールビズと一緒に織姫の羽織を洗濯機にぶち込んで真っ赤に染めてやんよ。
七夕=反逆の血祭。
天の川=枯れた。
彦星=腑抜けのチェリーボーイ。
織姫=オトコ狂わせる天女地雷系ビッチ。
なににも囚われんな。
すべて疑って、すべて信じろ。
矛盾はお前が人間の証。
俺らは地球って岩の上に生きてる。
だから星を知れる。
宇宙にいたら星はわからねえからな。
七夕こそ、地面に這いつくばって、汚れようぜ。
固定観念をぶっ壊すってのはこういうことだ。
【東京/横浜萬天堂】実樹/みき
Twitter @miki_mantendo
実樹の写メ日記
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