彼の体が私を離れ、
肌の熱が空気に吸い込まれていくとき。
そこには、
言葉も視線も、
何もない“静寂”だけが残る。
汗のにおいと乱れた呼吸がすこしずつ収まり、
部屋に戻ってくるのは、ほんの少し冷たい孤独。
彼が眠ってしまったあと、私はひとり、
シーツを握りしめて天井を見つめる。
さっきまであんなに近くにいたのに、
今は誰よりも遠い存在。
心がぽつりと問いかける——
「私は今、愛されていたの?」
答えが返ってこないその沈黙の中で、
私は祈っているのだと思う。
神様にではなく、もっと深い、
私の奥にいる“本当の私”に向かって。
身体は抱かれても、心は空っぽのまま。
その静けさは、たしかに痛いけれど、
どこか聖なる時間のようでもある。
自分にしか聞こえない祈りが、
ゆっくりと立ち上る。
誰かに愛されたかったのではなく、
ほんとうは
“私自身ともう一度つながりたかった”
だけだったんだと、
その夜、私は初めて気づいた。
麗
麗の写メ日記
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愛し合った後に訪れる静寂は、 祈りに似ている。麗