匂匂匂
目で定めて
声で惚れて
鼻で憶える
特に匂いは
頭にこびりつく
彼のあの匂いも
一緒にいた街の匂いも
全て「あの時」を
思い出させるからいやになるよ。
最初は
へーこんな香水付けてるんだ
タバコ吸ってるんだあ
まあ別にぐらいだった
そんな大したことない香りが
いつしか大切な思い出と共に
いい匂いに変わっていって
心を安心させる匂いに変わる
もう嫌いになったのに
もう思い出したくもないのに
あの匂いのせいで
楽しかった時のことだけが
都合のいいアルバムのように
勝手に頭の中で広がっていく
彼と同じ匂いを街で感じただけなのに。
顔も触れられた時の感触や体温まで「あの時」に戻される。
いい思い出だけではないのに
匂いの中ではいい奴になる
自分って都合いいんだなと
自己嫌悪にすらおちいる
甘美な匂い
甘く浅い罠ほど
闇深い沼かもな。
麗
麗の写メ日記
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匂匂匂麗