【【超短編小説】女が風化する時】- 麗(santuario)- 性感マッサージ

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麗の写メ日記

  • 【超短編小説】女が風化する時
    【超短編小説】女が風化する時

    「もう、家族にしか見えないから」

    息子が生まれてから一年半が過ぎ、

    ようやく歩けるようになった頃、

    私の中の「女」は歩むことを拒絶された。

    この2年近くは初めての「母」として生き、

    文字通り全ての私を費やして、

    母としての自我を、

    石造りのお城のように、

    一つ一つ丁寧に建ててきたのに…

    「母の城」が完成するこの2年で、

    「私の女」は風化していた。

    あの夏の日、

    旦那と白浜で作った砂の城は、

    私の「女」だったのかな。

    あの時は、

    「崩れていくのも綺麗」だなんて、

    笑顔で悦に浸っていたけれど、

    自らが砂上の楼閣となった今、

    笑顔も崩れ、

    涙も乾いていた。

    崩れ去った砂のお城は、

    もう一度、建て直すことは出来るのだろうか。

    これまで築き上げてきた私の砂粒を掻き集めて、

    建て直すことなんて、

    子育てよりも難しいことなのでは?

    そんな旦那からの「風」を受けてから、

    また一年半が過ぎ、

    息子が幼稚園に通ってくれたおかげで、

    学生時代の友達と会えるようになった。

    テンプレ通りの女子会も、

    日々の子育てから離れられる時間と思えば、

    かなり幸せだった。

    ただそんなテンプレな日々も、

    旧友からの一言で破られた。

    それは突風の様に私の「母の城」を壊し、

    海風の様に爽やかな風を私の心に運んできた。

    コレは底の見えない沼なのか、

    どこまでも澄んだ希望の海なのか。

    何にしても新しい風が、

    私の「女」の背中を押して、

    再び歩める様にしてくれる、

    そんな希望に満ちた一言だった。


    「ねえ、女風って知ってる?」


    つづく?


    作:santuario 麗

    ※無断転載禁止




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