駅から家まで帰る途中
近所のコンビニの目の前に
酔って意識を失っている男性がいた
これが新宿や池袋なら
気にならなかったかもしれないけど
あまり見かけない場所だからなのか
それとも車道のすぐそばだからなのか
その男性が心配になってしまった
しかしいざ助けようと思っても
僕の中の様々な感情が
”助けよう”という気持ちの邪魔をする
電車でお年寄りに席を譲りたくても
なかなか言い出せない気持ちに近いのかな
誰かのための優しさって
偽善者だって思われたり
自己満足だって思われたりするから
それがやっぱり恥ずかしい
だから僕はその倒れた男性を前にして
助けたいって気持ちはあるのに
結局その勇気が出ずに
ただその人を見ているだけしかできなかった
だけどそんな時に
コンビニから
1人の男性が出てきた
年齢は僕と同じくらいなのかな？
倒れている人をチラチラ見て
なんだか気まずそうな顔をしていた
きっとその人も僕と同じように
色んな葛藤をしているんだろうけど
そうして迷ってウジウジしている姿が
すごくカッコ悪く見えてしまった
だけどウジウジしているその姿は
まるで鏡に映った自分みたいで
僕もこんなにダサかったんだなって
そこで初めて気がついた
だから、行動した
コンビニで水を買ってきて
倒れてる男性に声をかけて
それでも返事は何もないから
ゆすったり
何度も声をかけたりして
結局警察に連絡して
助けに来てもらうことにした
すごく良いことしたみたいに書くけれど
結局こんなのただの僕の自己満足だ
感謝されたら嬉しいし
別に感謝がなくたって
良いことをしたという”自己満足”で
自己肯定感が上がるから
だけど別にそれでいいんだ
誰かに優しくするのに
理由なんていらないんだから
電話してから10分くらいで
警察が到着した
大袈裟かな？
夜中に迷惑かな？
なんて風にも思ったけれど
「ありがとうございました」って
警察官がすごく丁寧に
すごく笑顔で言ってくれたから
なんだかそれだけで心が救われた
誰かに優しくすれば
自分も気持ちよくなれるし
相手も優しくしてくれることが多い
偽善かもしれないし
打算かもしれないし
自己満かもしれないし
オナニーかもしれない
だけどその優しさが
結果的に相手を救えれば
そして自分を救えれば
それで十分なんじゃないのかな
傍観者になるくらいなら
僕は偽善者でいたい
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