まず初めに、最近大学のレポートばかり書いているために、今回の日記もやや、論文調になってしまうことをお許しください笑
日記は形式論、目的論的に学術論文とは区別できるものであるため、末尾においてあえて参考文献を明記していなかったのですが、今まで僕が執筆した全ての日記に関して、何かしらの学術書や新書、論文などの文献を参照していました。
しかし、今回の日記では完全に僕の主観による何のエビデンスもない主張になるため、特に参照したものはないということを最初に記します。
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1.はじめに
物の価値というものは何で決まるでしょうか。現代のわかりやすい指標としては、貨幣による「金額」であることが多いです。
例えば100円のイヤホンと5万円のイヤホンだと後者の方が機能面で優れていることは言うまでもありません。
(金額を決めるのは市場です。経済学者ケインズが考案したデマンドグラフを見ても分かる通り、基本的には需要と供給の関係性においてその価格は決定されます。)
では、食材についてはどうでしょう。僕はワインが大好きなのでワインで例えるとすると、やはり国産のワインよりもフランスのボルドー産とラベルに書かれた物の方がきっと美味しいのかなと予想します。(ワインについての知識が乏しいので)
魚や野菜もそれぞれその有名な産地が存在し、そこから収穫されたものはやはり、美味しいだろうと我々は判断します。
さらに美術においては、中世ではその価値を宗教が与えていました。ヨーロッパにおいては、そのキリスト教による力がその絵に価値を与え、その画家が後世に知れ渡るようになるのです。したがって、中世において、僕らが知っている画家に風景画専門の人がほとんどいないのもそのためです。
後にそれは美術館や展覧会、批評家たちがその絵に価値を与えていきます。
このように、物の価値というのは、それ単体で成立するのではなく、何らかの外的作用がそれを決定づけているというのが、一般的な財の特徴であります。
では、僕らの業界に視点を移していきましょうか。
僕らの業界では時間単位でセラピストさんとの
「時間」に一定の金額が定められており、
ユーザーさんはそれを買うことにより、セラピストさんとの時間を消費するという構造になっています。そして、その価値というのは売れている人(ランキング上位など)の価値は高く、売れていない人の価値は低いと言ったように判断されがちです。
しかし、実際にそうでしょうか。 実際に売り上げを立てている人が、セラピストとして価値があると本当に断言できるのでしょうか。事実、そもそもランキングを作っているのはその商品を売り出すお店自身であり、そこにお店の何らかの恣意的操作が存在しないと証明する手立てはありません。 また、ランキングが上位だということでその人があなたに会うかどうかは実際にそれを消費してみないとわからないことです。 後に詳しく解説しますが、ランキングはあくまで確率を提示する装置のようなものであり、確率論的に物事を判断しても、真理に到達できません。
したがって次回、何回かに分けてこのセラピストさんそれぞれの価値というのはどのように決まっているのか、一体誰がそれを決めているのか。そして、そこには何らかの自己の意志に関与する構造が隠れてないか解明していき、そしてその構造を脱構築し直し、新たな価値評価基準を提示することを目的とします。
今回の日記はおおよそ他のものと比べた上でそれなりに長くなると予想されたために、一旦ここで切らせていただきます。
次回の日記では、「客観的価値」と「主観的価値」という新たな概念を用いながら、上述の問題提起について、幾つかの具体例と他の消費財との比較を行い、論じていきたいと思います。
柚香の写メ日記
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セラピストの価値①〜ランキング、評判といった構造を脱構築する〜柚香