足元に広がる、柔らかな誘惑
一歩踏み出せば、足の裏が沈む感覚
まだ浅いと思っても、
その冷たさが心まで染み込んでくる
最初はただ、心地よかった
そっと水面を撫でる風のような
あたなの言葉が、自身の皮膚を優しく撫でていたから
でも、足元が少しずつ重くなる
水位が上がるたびに、私は知らず知らず
深い場所へ引き寄せられていく
手を伸ばしても、掴めるものは何もない
ただ、冷たく湿った手のひらが
無情に私を包み込んで、
息が詰まるほどの静寂が広がる
「まだ大丈夫」と言い聞かせても
心の中で何かがひび割れていく音がする
どんどん重くなる。それでもまだ、
君の笑顔に心を奪われる
私はもう気づいている
その笑顔が、実は足元に沈んだ
深い沼の底から届く
最後の光だということに
足を取られても、
私はここで溺れていく
それがどれほど危険でも、
心はまだ、その中に潜んでいる
進の写メ日記
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俺が思う『沼』進