vol.1『実樹のドZINE』
師走の忙しさ、そして闇の組織・東京卍天堂のホームページのクルクルと回るテロップに目が回る季節である。
昨夜までの雨が打って変わって、空は快晴。
こんな日はスカイツリーとか東京タワーとか池袋のゴミを焼く白い巨塔とか天高くそびえ立つ建物が身近にある人が羨ましい。
地面からちょっとずつ目線を辿りいつの間にか青空に辿り着いている、そんな見上げ方にはきっと実感と快感がある。
天気の素人である僕は晴空ばかり褒めてしまったが、天気の変態たる天気予報士は雨さえも愛し、傘をささないといった愛情表現でその愛を体現していると聞いた。
科学的根拠に基づいて雨が降っている事実を理解するときっと楽しいのだろう。
押井守監督作品の『スカイ・クロラ』というアニメ映画がある。
空の描写が美しい恋愛映画(監督談)。
普遍的な絶望の中で主人公はこう述べる。
「いつも通る道でも、違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。それだけではいけないのか」
違う地面を踏めて、景色が同じじゃないことが何より大切なんだとしたら、時に襲われる気持ちの浮き沈みさえも、恐ろしい退屈を避ける味方のように感じることができる。
雨も闇も病みも蚊さえも味方にして、君の元まで向かうことができるはずだ。
【東京/横浜萬天堂】実樹/みき
Twitter @miki_mantendo
実樹の写メ日記
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vol.1『実樹のドZINE』実樹