「我慢できない。」
夜の公園は不気味なほど静かだった。
ブランコを漕ぎながらゆらゆらと揺れる君を横目に、僕は高ぶる感情を抑えるのに必死だった。
キリキリ・・・
彼女がブランコを漕ぐたびに鉄の擦れる鈍い音が静まり返った公園に響き渡る。
その音はまるで僕の胸の締め付けを表しているようだった。
「もう我慢できない。」
彼女に触れたい。
彼女という存在を、そのぬくもりを、その僕を狂わせてしまうほど妖艶な君を僕の手の中に閉じ込めたい。
そんな僕の思いは届くはずもなく彼女は漕ぐのをやめようとしない。
その彼女の手に握られたブランコの鉄の鎖は、荒ぶる僕というライオンを手懐ける鎖のようだった。
キリキリ・・・キリキリ・・・
一定のリズムを刻んでいた音がピタッと止まった。
「そんなに私に触りたいの?」
彼女に完全に振り回されていた。
僕が座っているそのブランコは、漕がずとも揺れ出す勢いだった。
「いいよ。」
そう彼女が言い終わるのを合図に、まるで動物園から解き放たれた猛獣の如く僕は彼女に抱き着いた。
その獰猛な猛獣を手なずけるかのように彼女は僕の耳元で優しく甘い声でこうつぶやいた。
「富士触りパーク」
拓也
拓也の写メ日記
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【我慢できない】拓也