藤子F不二雄先生の短編に「未来ドロボウ」というSF（すこしふしぎ）作品がある。
父親の工場が潰れてしまい、将来をうしなって絶望した若者が、あるとき老人に声をかけられる。
老人は、全財産と引き換えに未来を売らないか？と彼に持ちかけ…という話。
ラストでは老人が「若いというのはどんなに金を積んでも替えないくらい素晴らしい」というセリフを言う。
でも、読んだ当時も今も、僕はあまりそのセリフがピンときていない。
結果が定まっていない未来と、今まで積み重ねてきた時間。
果たして、どちらが価値があるだろう？
そんなに簡単に答えが出る話じゃない。
でも、人は誰だって自分の人生で積み重ねてきた時間があるし、それは何物にも代えがたいくらい尊いもの。
白紙に戻したくなるときもあるけど、結局、戻したところで同じような道を歩む気もする。
それよりは、今まで積み重ねてきたものの価値と重さを大切にした方が、人生が楽しくなるんじゃないかな…なんて思う。
