僕もそれなりにいい中年になってきて…
「あれ、あの名前なんだっけ」
「どこかでこんな話があったはずなんだけど、何だったかな…」
なんてことは増えてきた。
でも、どうも「忘れる」というのは悪いことばかりじゃないらしい。
むしろ、学習したことをちゃんと「忘れ」ないと、使い物にならないという。
たとえば、物事の細部まで覚えているような明晰な記憶力は、一見スゴいように思うけれど、それと同じシチュエーションは、たぶん二度と起きない。
だから、細部を覚えている、ということは「未来の糧にする」という意味では、あんまり役に立たない。
むしろ細部をそぎ落とし、忘れてしまって、その本質だけを覚えている方が、学習としてはずっと効率がいいし、応用が利く。
人間はよく学び、よく忘れないと、未来に生かせる知恵にならない…というのが、近年の認知科学の知見だそうだ。
そう考えると、いつも忘れてばかりの自分も、何となく誇らしく思えてくる。