不朽の名作「ライ麦畑でつかまえて」には、次のような一節がある。
未熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。
これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある。
この本を読んだのは10代の頃だけど、この言葉の重みは年を追うごとに増してくる気がする。
そして、こんな言葉にも変換できる。
右手にロマン 左手にソロバン
いかにも大阪のオッチャンがいいそうな言葉だけど、でも、生きることの本質を突いていると思う。
人間、何かをなそうと思ったら、どこかでしょうもない計算をする、小さな自分自身を受け容れないといけない。
その上で、理想に何ができるか。
そして、この理想って「自分が本当に望むこと=欲望」と言い換えても、そっくり通じるように思う。
欲望を満たすことにためらわない。
欲望を追いかける小さな自分を受け容れる。
それが、人の成熟であり、性の成熟であると思う。