洗濯で柔軟剤を使う人も多いと思います。柔軟剤は、もともと海外の硬水の地域で洗濯ものを洗う際、硬水では洗濯物がゴワゴワになってしまうということで、それを防ぐために生まれました。それに対して日本は軟水の地域が多いため、そもそも日本の場合は「必ず柔軟剤が必要」というわけではないんですね。
それならなぜ、日本ではここまで柔軟剤が広まったのでしょうか。もともと日本人は体臭が少ないとも言われており、湿気が多い日本では香りやにおいが強く感じられてしまうこともあります。そのため、強い香り付きの製品は嫌がられがち。でも、多くの人が知るアメリカの柔軟剤、「ダウニー」の登場により、香りの付いた製品が広く広まることになったんです。
このダウニーが日本で広く人気を呼び、日本のメーカー、例えばP&Gも香りを重視した「レノアハピネス」を発売したり、そのうち鮮やかな赤や紫、黒のパッケージまで飛び出してきたんです。実は、柔軟剤の香りを香水代わりに考える人も増え、洗濯物を柔らかくするものというよりは、その香りを楽しむようになっていったんですね。
実際に芳香剤や防虫剤、あらゆる洗剤なども、日本製品はその香りを重視しています。柔軟剤は清潔感が強調されることもあり、そこから広く人気を呼んだのではないかと言われています。
確かに、柔軟剤のふわっとした香りは、なんだか温かい気持ちになってしまうことがありますよね。強い匂いを苦手とする日本で、香りが残りやすい柔軟剤が愛されている背景には、そんな事情があるんです。