冬はつとめて。雪の振りたるはいふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに火などいそぎおこして、炭もてわたるもいとつきづきし。
これは、平安時代の女流歌人、清少納言が書いた「枕草子」の冒頭文です。「冬は早朝が良い。雪の降る早朝は言うまでもない。使用人たちが炭火を持って廊下を行き来するのも冬に似つかわしい。」という意味ですね。
今現在は暖房も発達し、部屋をリモコン1つで簡単に温められるようになりました。部屋が寒くてなかなか布団から出たくないと感じることもありますが、そもそも平安時代は現代のような暖房はなく、清少納言は、こうやって使用人たちが炭火を持って走り回り、部屋を温める姿を目にしていたわけです。
そう考えると、時代の変化、設備の進歩への感謝と共に、ふと、昔のものへの風情を感じたりするんです。