常に技術は先に進んでおり、例えば僕たちが使っているスマホやパソコンも、どんどん進化していますよね。しかし、世の中には「最先端の技術が最も安全とは限らない」といった考え方を重視している分野があります。それは新幹線。
新幹線は、実は非常に保守的です。どんなに良いと思われる技術が鉄道で開発されたとしても、すぐに新幹線に導入されることはありません。まずは在来線でテストし、そこから新幹線でテストし、それでようやく採用されるため、10年近くの歳月を経て新幹線に導入されると考えて良いでしょう。
そしてもう1つ、保守的だからこそ、年に一度使用するかどうかといったシステムも、しっかり整備しています。年に1回しか使わないからいいや、と言ったことはあり得ないんですよ。そのシステムの1つが、大地震の初期微動を検知して列車を停止させるテラス(東海
)、早期地震検知警報システム(JR西日本)、新幹線早期地震検知システム(JR東日本)、耐震列車防護システム(JR九州)と呼ばれるものです。
例えば、2011年3月11日の東日本大震災が起こった時、26本の新幹線が走行中でした。しかしこれらはただちに非常ブレーキを作動させ、安全に停車したんです。JR東日本の新幹線早期地震検知システムがしっかりと作動したため、これが可能になったんですよ。この技術は海外でも高く評価されており、例えば台湾でも大地震が起こったことを受け、日本から新幹線車両を輸出しています。
このように、新幹線は極めて高い技術が用いられているにもかかわらず、最新鋭の技術ばかりが導入されているわけではなく、その技術は極めて保守的ということがわかります。
そう考えると僕たちも、「新しいものが良いに決まっている」と考えるのではなく、何が良いのか、何に価値があるのか、しっかりと見極める姿勢を持ちたいですね。