日本には、「おもてなし」という概念がありますよね。この言葉の起源には諸説ありますが、西暦604年に聖徳太子が制定したと言われている十七条の憲法の由来されるのではないかという説が最も有力です。この憲法の第1条には、「和を以って尊しと成す」という一文があるんです。そしてこの「以って~を成す」が「以て成す」になり、「もてなす」になったのではないかと。
つまり、この言葉は「相手に何かをすることで、何かを成す」という意味になるんですね。例えば、「相手に笑顔で挨拶をすることで、相手に喜んでもらうことを成す」というような意味です。何かをして終わりなのではなく、それによって「何かを成す」という感覚こそ、「おもてなし」なんです。
「おもてなし」の感覚に大きな影響を与えた人物が、茶人の千利休だと言われています。千利休は、「水を運び、薪を取り、湯を沸かし、茶を立てて、仏に備え、人にも施し、吾も飲む」という言葉を残しています。茶の湯には多くのルールがありますが、それを守ることばかり無視して客人への思いやりを忘れてはならない、という戒めの言葉なんですよ。つまり、当たり前のことをきちんとすることが大切である、という意味です。
相手の喜んでもらえるように、心を込めてもてなす。それこそが、僕たちキャストが持つべき心意気なのではないでしょうか。