僕たちが当たり前のように目にしている横断歩道。これの歴史は古く、その起源は古代ローマにまで遡ります。しかしその一方で、今のデザインになったのは最近のことなんですよ。
日本に横断歩道というものが設置されたのは、1920年、大正時代のことでした。最初は「電車路線横断線」と言われていました。当時は車道を横切るためのものではなく、路面列車が主流だったため、歩行者が線路上を横切る場所として設けられていたんです。そこから高度経済成長が始まり、車を持つ人が増えた1950年代から1960年代にかけて、今度は交通事故が増え、歩行者が車道を横切る場所に、横断歩道が作られ始めたんです。
小学生の交通安全を守る必要もあり、1960年、横断歩道が法制化されました。最初のデザインは、チェッカー型だったんです。しかしこのデザインは複雑で、設置にも時間がかかるとのことで、1965年にはデザインの単純化が図られ、シンプルなはしご型になりました。そして1992年、きわめて最近ですね、運転手から見やすいようにと、国際的横断歩道、つまり僕たちが毎日のように目にするゼブラ型に変わったんです。
はしご型には左右に側線がありましたが、ゼブラ型ならそれがないため、横断歩道の内部に雨水がたまってしまう心配もありませんでした。泥はね軽減にも繋がり、はしご型以上にデザインがシンプルなため、更なる設置が進んだんです。
おもしろいと思いませんか?今現在のデザインは世界でも多く用いられているデザインですが、これに至ったのはつい最近。そして、そこに至るまでには多くの変更と、人々の工夫があったんです。