日本の駅では、ホームドアの設置が進められています。そんな中でも、都営地下鉄は早々に設置率100%を実現しました。4社が乗り入れ、多くの人が利用する都営地下鉄。全駅に設置すれば、それは20億円になると言われたホームドア。しかし日本には、これを270万円で可能にしてしまった男たちがいたんです。
ホームドアを設置するためには、「ホームドアに情報を伝えるための無線通信機器」を車両に搭載しなければなりませんでした。しかしそのためには、車両1編成につき数千万円かかります。
そこで都営地下鉄エンジニアたちが考えたものが、「車両の扉の開閉を読み取る識別マークを車両につけ、ホーム側が読み取れば良いのではないか」という案でした。そして、エンジニアたちの目を引いたものが、なんとQRコード。
QRコードは、もともとデンソーが考え出したものです。つまり油まみれでも読み取れるメリットがあり、外を走る電車に貼り付けても大丈夫なのではないかと考えられるようになったんです。
あらゆる実験を経て、「QRコードを電車に貼り付けることでホームドアを開閉させる」ことが可能になりました。地下鉄用のQRコードはtQRコード(トレインやタフネスのt)と呼ばれるようになります。
このようにして世界初の「tQRコード式ホームドア」が完成しました。これにより、最低20億はかかるだろうと言われていたホームドアの設置が、270万円で抑えられたんですよ。
日本の地下鉄エンジニアたちの熱意、デンソーの高い技術が、このような奇跡を可能にしたんです。