誰もが知る日本の企業、任天堂。この任天堂の総務部は世界最強とも言われているんです。1982年、あのユニバーサル・スタジオが、「任天堂のドンキー・コングがキング・コングの商標権侵害に当たるとして任天堂を訴える」ということが起こりました。結果として任天堂が勝訴したのみならず、ユニバーサルが多額の損害賠償を支払うということになった過去があるんです。
当時ユニバーサルの副社長はドンキー・コングはキング・コングの真似だと捉え、ユニバーサルの権利を侵害していると考えました。そして任天堂にライセンス契約を結ばせようと考えたのです。まだまだビデオゲームの法的基盤が発達しておらず、ユニバーサルはそのネームバリューで任天堂も手中にできると考えていたと思われます。実際に任天堂も、500万~700万ドルで和解する方向で考えていました。
そこで立ち上がったのが任天堂の顧問弁護士でした。弁護士たちはユニバーサルとの裁判の場で、以下のように主張します。
・ユニバーサルのキング・コングはリメイクであり、ユニバーサルのオリジナルではないこと
・リメイク権を巡って争った際には、ユニバーサルはキング・コングがパブリックドメインだと主張したこと
・故に、ユニバーサルはキング・コングの権利を有していないこと
その主張により、任天堂が勝訴します。ユニバーサルは判決を不服として控訴しますが、第二審でも任天堂が勝訴し、ユニバーサルは負けを認めることとなりました。そして任天堂は、任天堂の知的財産を守るため、法務部の体制を整えるに至り、今では世界最強の総務部とも言われるようになったんです。
ちなみに、任天堂とユニバーサルは今はすっかり和解し、2021年にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンで、2023年にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで、スーパーニンテンドーワールドをオープンするに至っているんですよ。