担々麺と言えば、日本でもなじみのある中華料理だと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、日本国内で知られている担々麺は、中国のそれとは大きく異なる部分があります。僕たちが知っている担々麵は、実は日本人の味覚に合わせて作られたものなんですよ。
四川料理である担々麺は、ひき肉やザーサイなどを細かく切って炒め、辛みの強い味付けにし、それを茹でた麺に載せたものを指します。それに対して日本の担々麺は白ゴマのスープになっており、四川料理の担々麺とは大きく異なります。
これは、「日本の四川料理の父」と呼ばれた陳建民(ちんけんみん)という人物が、四川の担々麺をアレンジして日本に伝えたからだと言われています。陳氏は第二次世界大戦後、中国国内で料理を学び、腕を磨き、1952年に来日しました。日本国内でも彼の腕は人気を呼び、彼が中華料理の人気に火をつけたと言っても過言ではありません。
しかし、彼が提供した担々麺は日本人には不評だったんです。日本ではすでにラーメンが大きな人気を呼んでいたため、陳氏は担々麺を日本のラーメンに近づけることにしました。担々麺に胡麻のペーストを加えたスープを用い、これが日本人のために生み出された担々麺となって普及していったんです。
ちなみに、四川省では「担々麺」という名称が政府によって商標登録されており、政府直営のレストラン以外では「担々麺」という名称を使うことができないそうですよ。そのような違いも、おもしろいですよね。