日本が誇る冷凍食品。この冷凍食品がここまで普及した背景には、2つの理由があるんです。
まず、1964年の東京オリンピック。オリンピックの開催地ともなれば、世界各国から集まる選手やコーチ、スタッフたちに食事を提供する必要があります。しかし、全員に提供する食事の量は当時の東京都民の1日の食事の5%の量に匹敵するとも考えられ、これだけの食材の買い占めは物価高騰を招きかねませんでした。そこで、帝国ホテルの料理長だった村上信夫氏を中心に、どうするべきか対策が練られるようになります。
そこで検討されたものが冷凍食品。村上氏はニチレ〇フーズと協力し、冷食の開発に乗り出しました。しかし当時の冷食は味がどうしても落ちてしまい、なかなかうまくいかなかったのです。そんな時に村上氏は、第二次世界大戦中にシベリアの捕虜として捕まっていた時代のことを思い出しました。「凍ってしまったジャガイモにお湯をかけたら美味しく食べられた」ことを思い出し、彼は冷食にお湯をかけて解凍したり、冷凍する時にも生から冷凍してみたり、茹でてから冷凍してみたりと、工夫を凝らしてみたのです。こうして一つひとつ開発をしていき、東京オリンピックで使えるだけの冷食ができあがったのでした。
そこに冷凍庫や電信レンジの普及が伴い、冷食は一気に全国に広がります。しかし当時の冷食は、どうしても安かろう悪かろうのイメージが強かったのも事実。その認識が変わったのが1999年でした。電子レンジが低価格化し、9割以上の人がレンジを持つようになります。また、女性の社会進出が進み、冷食の需要が高まりました。また、人々の所得が上がり、冷食への期待も高まるようになったんです。ちょっとした軽食やお菓子などの料理素材から、チャーハン、カレー、ラーメンやパスタなど、1食でおなかがいっぱいになるメニューも増えたんですよ。
日本の冷食は種類も豊富で、味も良いですよね。忙しい日のちょっとした味方でもあります。しかしそんな冷食は、60年前のオリンピックの頃から開発が始まり、時代の流れに沿って、こうやって発展してきたんですよ。