映画館と言えばポップコーン、そう思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、なぜ映画館と言えばポップコーンなのか、考えたことはありますか?
ポップコーンは、実は6700年前、南米ペルーで食べられ始めたと考えられています。15世紀のインカ帝国で今のようなポップコーンが食べられるようになり、1820年ごろ、チリからアメリカにポップコーンの原料が持ち込まれたことにより、アメリカでポップコーンが広まることになりました。1893年のシカゴ万博では移動式ポップコーン製造マシンが発明され、調理場で火や鍋を使わなくてもポップコーンを作れるようになり、お祭りやスポーツ会場など、あらゆる場所で販売されるようになったのです。ポンポン音を鳴らしてできあがる姿はエンターテイメントと相性が良く、こうしてポップコーンは、エンターテイメントの場所で食べるものというスタンスを確立することに成功したんですね。
そうやってポップコーンが広まっていったアメリカ国内ですが、映画館でポップコーンが販売されるようになったのはまだまだ先の話。当時の映画は無声映画であり、映画を楽しむためには字幕を読める必要がありました。つまり、読み書きができる裕福な人が集まる映画館は高級感のある娯楽の場だったんです。そこでは「庶民的なポップコーンは似合わない」と考えられていました。
しかし、映像と音が一緒に再生される、トーキーと言われる有声映画の誕生により、読み書きができない子供から大人までが映画を楽しめるようになりました。そして1929年の世界恐慌により、ストレスを被った人たちが映画を見ることでストレスを発散しようとしたんです。そこで人々が好んだ食べ物が、値段の安いポップコーンでした。外で買ったポップコーンを館内に持ち込んで食べる人が増え、映画館がポップコーンの販売を決定したとのことです。
その後は第二次世界大戦が起こり、砂糖が不足したことで、アメリカ国内ではお菓子が作れなくなりました。しかしポップコーンは砂糖を使わず、簡単に作れるお菓子であることから、安定して供給されていたとのことです。今となっては映画館の収益の85%がポップコーンなのではないかとも言われているのだとか。ポップコーンを買えば喉が渇きますから、飲み物も併せて販売できますし、利益率が上がりますよね。
こうやって、ポップコーンは映画館に定着していったそうですよ。