昼下がり
ふと背伸びした瞬間に
あなたの匂いがすこしだけ蘇る
どこかで嗅いだはずの柔軟剤
お気に入りの香水が
袖口の奥にまだ眠ってる
一緒にいたときは
ただ心地よかったはずなのに
離れてみて初めて
こんなにも深く残るものだと知った
香りって不思議
一瞬で記憶が戻ってきて
一緒に笑ってたときの空気
少し照れくさそうな表情
名前を呼んでくれた声まで
ぜんぶ引き寄せる
あなたが触れた場所よりも
慈露の中に強く残っていたのは
香りと一緒に沁みこんだ
静かな幸福でした
露花の"慈露"より