ふたりきりの部屋に
静かに揺れるロウソクの灯り
電気は消して薄い影と温度だけの空間
ふとあなたが寝返りをうったその瞬間
カーテンの隙間から入った風が
炎をわずかに揺らす
光が動けば影も踊る
壁に映ったふたりの姿が
重なったりほどけたり
ふだんよりも
肌の輪郭がやわらかく見えて
ふだんよりも
声が静かに身体の奥まで届いて
それだけで夜が艶を帯びてくる
気持ちが満ちていく時間
いちばん繋がりを感じる
ロウソクの光って
なぜあんなにも"やさしい"のでしょうね
あなたの髪を、頬を
やわらかく照らしてくれるその明かりごと
そっと抱きしめたくなる夜でした
露花の"慈露"より