その日あなたに初めて名前を
呼ばれたときのこと。
気ない一言だったのに
心の奥がふるえるような感覚があった。
「じろ」って、たった2文字…
でもそこには、信頼と距離の変化と
確かな温度が宿っていた。
名前で呼ばれるって
ただの呼称じゃないし
"存在を認めてるよ"って
そっと手渡される想いだと思うんです。
ずっと触れられずにいた部分を
やさしくなぞられるような。
言葉よりも深く染みる、音のぬくもり。
施術のときよりも、もっと静かに
もっと確かに、心をふるわせる瞬間でした。
あの一言があったから
慈露は今もこの場所にいられる。
名を呼んでくれた"あなた"がいたから。
それはずっと消えない光のように
慈露の中に灯っています。
ありがとう。
今日もまた、その声が聴きたくて
慈露はここにいます。
露花の"慈露"より