ふたりで並んで横になっていると
君が背中を向けて
すっと寝返りをうった。
その瞬間、空気がふっと変わる。
髪が肩に落ちる音…
深くなる呼吸…
柔らかくなった身体の角度…
きっとまだ眠ってはいない。
でも何も言わない、言わせない。
そんな「間」がかえって雄弁だった。
そっと指先を伸ばし、
背中にふれる。
ゆっくり、優しく、何も壊さぬように。
君はわずかに身をゆだねて、
まるで許すように、静かに応える。
寝返りひとつが合図だった。
身体は正直で、繊細で、美しい。
だからこそ、
この一瞬に込められた「始まり」を
丁寧にほどいてゆく。
空気が言葉以上の想いになる夜。
"慈露"は君をそっと包みます
露花の“慈露”より