目隠しをしたまま
麻縄が解かれはじめる
ほどけていくのは
身体より先に心の奥
麻縄に預けられた手首から
静かに伝わる鼓動
その震えをゆっくり優しく辿っていく
まだ触れてもいないのに
膝の裏が疼きはじめる
喉の奥が乾き
息がまとまらなくなる
肌に沿う気配…
空気の揺らぎ…
触れたのか触れていないのか
その狭間に心が溶けていく
結び目がほどかれるたびに
ぎゅっと結んでいた何かが
じんわりと緩んでいく
羞恥・自制・遠慮・痛み…
そのどれもがゆっくりと溶けていく
ほどくことは許すこと
解かれることは委ねること
しなやかに滑る麻縄の感触が
自分の輪郭をひとつずつ確かめてくれる
力が抜けた肩にそっと手を添える
縛られていた腕が自由になると
まるでその瞬間
心が抱きしめられたように震える
“縛る”ことで触れていたはずの感情が
“ほどく”ことでもっと深くに届いてくる
身体の奥でなにかが泣いていた
それに気づいたときふいに涙が滲んだ
もう抗わなくていい
もう隠さなくていい
あなたの一番やわらかいところに
そっと手を差し伸べる
それが慈露という名のもうひとつの顔⸝⸝⸝♡
露花✿慈露