仁の写メ日記

明治神宮外苑を後にして、
車はゆっくりと青山通りへと戻る。


フロントガラス越しに見える、
まばらに灯るオフィスビルの光。
煌びやかというより、


どこか物思いにふけるような　　
静けさが、この通りにはよく似合う。


信号待ちの合間に、ふと助手席を見る。
そこにはまだ誰もいないけれど――
その“空白”が、どこか温かく感じられる...
そんな夜もある。


どこか物思いにふけるような静けさが、
この通りにはよく似合う。


信号待ちの合間に、ふと助手席を見る。
そこにはまだ誰もいないけれど――
その“空白”が、どこか温かく感じられる。



なぜだろう？



やがて、表参道の交差点を通り
過ぎて骨董通りの交差点へ。

昼間は賑わう表参道も、この時間に
なると少しだけ？眠たげに見えたり。
けれどそれが、二人きりには、



"ちょうどいい”静寂。

　

ブティックのショーウィンドウに
映る光と影。鏡のように揺れるガラス
越しに、過ぎ去った恋や、まだ知らない
誰かの記憶がふとよぎったり。



でも今は、ただゆっくりと走ればいい。



“無言で寄り添える距離”があるだけで、
少しずつ心はほどけていくから――


信号が青に変わる。
車は再び、静かに走り出す。


そのとき、心のどこかが思う。


『この助手席に、もしも貴女が
座っていたなら…』


未だ見ぬ貴女のために、
この夜の続きを、そっと用意して
おきますね。





露花 仁（じん）