車は、弁慶橋を渡り、やがて
紀尾井町通りへと差し掛かる。
老舗プレミアホテル
『ホテルニューオータニ東京』――
隣接する『ガーデンコート』の静謐
な佇まいは、まるでこの街の歴史を、
静かに見守っているかのよう。
その斜向かいには、旧赤坂プリンス
ホテル跡地に生まれ変わった
『ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町』
が、静かに灯りを灯している。
洗練と格式が交差する、
夜の紀尾井町通り。その通りを抜けて、
紀尾井坂から外堀通りへ戻ると――
視界いっぱいに広がるのは、
“元赤坂”の圧倒的な緑地帯。
国内外の賓客を迎える迎賓館。
皇室ゆかりの赤坂御用地。
その空間が放つ“静けさ”は、都会の
喧騒からほんの少し距離を置く、特別
な品格を感じさせてくれる。
そして再び赤坂見附へ戻り、
今度は青山通りへ。
やがて現れるのは、通りに面して佇む
『豊川稲荷東京別院』。
赤い提灯が列を成し、
一度訪れたら、決して忘れられない
印象を残す――歴史と風情を纏った、
都心にひっそり息づく神聖な場所。
そこから車をゆっくり進めていくと、
やがて姿を現すのは、“明治神宮外苑”。
ライトアップされた聖徳記念絵画館
の向こう側に、整然と並ぶイチョウ
並木が、夜風に揺れている。
季節や時間帯によって表情を変える
その風景は、都会の真ん中にある
“深呼吸できる場所”。
助手席の窓を少しだけ開ければ、
夜風がそっと頬を撫で、自然が運ぶ
空気がふわりと心を包む。
それだけで――
少しだけ、自分を取り戻せる。
心も、身体も。
静かに整っていくように。
ふと寄りかかりたくなった夜に、
思い出してもらえるように――
その時のプラン、そっと準備して
おきますね。
露花 仁(じん)
仁の写メ日記
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赤坂のランドマーク "赤坂見附” の交差点から――仁