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じんの写メ日記

  • 【実話】5月某日 — 某ホテルにて
    じん
    【実話】5月某日 — 某ホテルにて

    その日は不思議な夜だった……

    本業仕事を終えて、ご予約が入り
    施術のあと、鏡越しにふとお客様と目が合った。

    「もっと早く、じん君に出会っていたらな…」って。

    じん君って、もっと優しいだけの人かと思ってた…」
    今日のお客様が、施術の終わりにそう呟いたの。
    それから小さな声で、続けたのよね。

    「すっごくいじわるで、焦ったくて…」って。
    その声、耳元にかかるくらいの距離。
    肌が、ゾクってした。

    わたしね、ふだんは“癒し”を求められることが多いの。
    だけど、癒すって、甘いだけじゃ足りない。
    身体の奥、心の奥、ほどくには
    ちょっとくらい焦らして、欲張りになってもらわないと。

    すぐに触れたらつまらないでしょう?
    すぐに満たされたら、きっと忘れてしまうから。
    “もう無理”って声を、わざと聞こえないふりして
    じっくり、じわじわ、溶かしていく。
    そんな夜があっても、いいでしょう?

    その人の帰り際、エレベーターの扉が閉まる直前、
    目が合ったの。
    赤くなった頬、噛んだ唇、ほどけきらない呼吸。

    …ちゃんと、わたしのこと、身体で覚えてくれてる。

    あなたも、試してみる?
    わたし、焦らすの、得意だから。

    また会える日を楽しみにしてるね。

    Story-じんより