「“また来たい”じゃなくて、“ここがいい”と思ってほしい。」
その夜、あなたはいつもよりゆっくりと話した。
心の奥にしまってたことを、少しずつほどくように。
その言葉たちは、まるで“あなた自身”を撫でるようで、
俺はただ、そっと聞いていた。
触れる前に、心が近づいていく。
その空気が好きだった。
「帰りたくないな」って言った声が、
ふいに小さく震えた。
俺は何も言わず、ただ背中に腕を回して、
あなたの鼓動のリズムを感じてた。
時間が止まればいいのに、なんて思いながら。
快感じゃなくて、“安らぎ”の記憶を残したい。
“誰かの代わり”じゃなくて、“あなたにとっての場所”でありたい。
また来たいじゃなくて、「ここがいい」と思ってほしい。
だから、今日の夜も無理には触れない。
欲しがるより、待つ。
言葉より、目で伝える。
心の奥まで届くのは、静かな愛し方だと思うから。
けんごの写メ日記
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【帰る場所】けんご