今日、またひとり──
もしかしたら“卒業”かもしれない彼女を見送ってきた。
出会った頃、彼女はまだいろんなものを抱えていて、
どこかでずっと、言葉にできないものを押し込めていた。
後から聞いた話だけど、当時はメンタル系の薬もかなり飲んでいたらしい。
そんな状態の中で、何をどう伝えたらいいかも分からず、
それでも必死に自分を保とうとしていたんだと思う。
一時はゴタゴタしたこともあった。
でも、ちゃんと本気の気持ちを見せてくれた日があって、
おれも腹を割って、本心で話す時間を持てた。
それを境に、少しずつ彼女のプライベートも前向きな方へ流れ始めた。
今日の予約は久しぶりだった。
でも、久しぶりのその時間の中で、
彼女が元気を取り戻しているのが言葉や表情から自然と伝わってきた。
お互いの近況を話す流れで、
ふと「もしかして今回が最後になるのかな」と感じて、
それとなく聞いてみた。
彼女は少し余白を残したような言い方で、
「そうなるかも…」と笑った。
普通のセラピストなら、
たぶんそこで全力で引き止めるのかもしれない。
少し感情をぶつけてでも、「まだ来てほしい」と言うかもしれない。
でもおれは、そういう時に無理をしたくない。
彼女の中に“変わりたい”という気持ちがあるなら、
それを止めることはしない。
むしろ、その感覚こそが本物だと思うから。
昔、おれ自身が変わろうとしたとき、
何度も止められて嫌な思いをした経験がある。
「今のままでいてほしい」と言われるたびに、
自由になりたい気持ちが押しつぶされていった。
だから今、おれが誰かの羽ばたきを止める側にはなりたくない。
むしろ「よくぞここまで来たね」って送り出せる男でいたい。
予約してくれた時間も、あっという間に過ぎた。
駅の改札で、いつも通り手を振って別れる。
必要以上にハグをすることも、涙を見せることもない。
別れを“特別なもの”にしすぎたくない。
惜しまれたいわけじゃないし、
感情を引きずる形で終わるのは、彼女にとっても良くない。
何より、今日は彼女の顔が少し大人びて見えた。
いつもはどこか不安そうで、
表情にも幼さが残っていたけれど、
今日は違った。
人生の楽しさを、ほんの少しずつ掴みはじめているような、
そんな顔をしていた。
卒業のタイミングって、本当に難しい。
間違えると「突き放された」と感じさせてしまうし、
逆にズルズル引き止めてしまえば、“沼”に近づけてしまう。
でも今回の彼女には、ほんの少しの迷いはあったかもしれないけど、
きっと**「いまがその時」**だったんだと思う。
別れたあとに送ったアフターメールにも、
「背中を押してもらえた」と彼女らしい言葉が綴られていて、
あぁ、ちゃんと届いていたんだなと安心した。
羽ばたいていく彼女を見て、
嫉妬したり、引き止めたりするような男じゃなくて、
ほんとうによかったと思う。
誰かの人生の一部に関われたこと、
そしてその人が、前を向いて歩いていけるようになったこと。
それだけで、もう十分。
MUSASHI
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MUSASHIの写メ日記
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【羽ばたこうとする人の背中を、引き止めない】MUSASHI