特急の車内、窓の外は夕暮れどき。
湿った空気がまだ少し残っている。ゲリラ豪雨のあと、東の空にふと虹がかかっていた。
虹って、太陽に背を向けた空にしか出ないって知ってました?
──なんだかそれが、今日の自分と重なった。
今朝からずっと曇り空で、気圧も湿度もぐずぐず。
身体がだるい、って声をお客さんからもよく聞く季節だ。
おれも朝から有酸素をして身体を目覚めさせたけど、どこかスッキリしないまま新宿に向かった。
仕事を終えて電車に乗り込むと、スーツ姿のサラリーマンがほとんど。
まるで量産された“まとも”の見本みたいに、綺麗に並んで座ってる。
PCを開く人、無表情にスマホを眺める人、缶ビール片手に脱力してる人──
それぞれに疲れてるのに、どこか安心感のある顔をしている。
たぶん、彼らは今日も「ちゃんと働いた」んだろう。
じゃあ、おれはどうか。
同じように働いて、疲れて帰ってきてるはずなのに、隣に並ぶには少し異質な自分がいる。
今日のおれもまた、誰かのために手を尽くした帰り道なのに。
それでも、「まとも」の枠には入りきれない自分を、やっぱりちょっと意識してしまう。
でも、しょうがないんだ。
おれは太陽の正面から顔を出すような生き方じゃなくて、ずっと背中側でやってきた。
人には言えないことも多い。
語ればきっと誤解されるし、黙っていれば「何者か分からない」と警戒されるような毎日。
それでも、この場所で、自分にしかできないことがあると信じてやってきた。
時々、「風俗なんて」と揶揄されることもある。
それを否定するつもりも、言い訳するつもりもない。
たしかに、自分のしていることは、そう呼ばれる種類の仕事だ。
でも、その中で出会った人たちは、みんなちゃんと生きてた。
笑ってるけど泣きたい人、強がってるけど触れたら壊れそうな人。
誰にも言えない孤独や、誰にも分かってもらえなかった痛み。
そんな“声なきもの”に、触れることで寄り添ってきた。
だから、たまにふいに「ありがとう」って言われるだけで泣きそうになる。
「誰かに受け入れてもらえた」と思える瞬間が、自分にとっては何よりの報酬だった。
電車の窓から見える夕焼けが、だんだんと濃くなってくる。
虹はもう薄くなって、少しずつ空に溶けていった。
──でも、あの虹は、おれにだけ見えた気がした。
太陽に背を向けているからこそ、見えるものがある。
人の光を受け止めるのではなく、人の陰にそっと寄り添っていく。
そういう役割が、この世にはきっとあるんだと思う。
華やかじゃない。
でも、その分、真実に近い場所に居られる。
誰にも言えない日々を選んで生きてきたけれど、
それでも──神様はたまに、ご褒美をくれる。
そんなふうに思えた夕暮れでした。
MUSASHI
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【太陽に背を向けて】MUSASHI