別れ
2人目の母親との別れ
娼夫となった少年リョウは
ナンバーワンとなり、その後代表となった
プレイヤーを継続し
店の舵取りにまで
その才能を遺憾なく発揮する
一年前に国からの摘発を受けて息を潜めていたクラブが再スタートをきる
リョウのプレイヤーとしての魅力は
相手に合わせてスイッチできる事
やんちゃな男子、頭の良い学生、すごく敏感でやらしい男
合わせるとは答えを貰うことではなく
少しだけ先にいってあげることをいう
代表としては、因縁のひとを内勤職として採用する
因縁は解け、その後の大切な仲間となるひとだった
1番難しい仕事がキャストのスカウトだった
目の肥えたリョウから見たら、街にいる男たちは、街にいる一般人は、一般人でしかなかった
『あなたはどういう人なんですか?』
『GIDでFTM』
リョウの問いにアユムが答える
会話はその先に進む
タバコは吸わないの?
吸いません、僕がやってるドラックは
男性ホルモン注射だけです
出会ったその日にアユムはテストを受けた
娼夫としての才覚を見極める為の
心が男で、体は女というアユムのそれは
とても悲しげで透明感があった
それは芸術的といえた
クラブは、リョウそして同じくずっとナンバーワンの座を競い合っていたアズマ
そしてアユム
この3人のプレイヤーを主軸に
順調にまわっていた
そしてあのひとが戻ってくる
クラブを立ち上げた、リョウとアズマをスカウトとした静香さん
リョウからしたら子供から大人に移り変わるその時に
青年となるその時に
出会った2人目の母親
自分を娼夫の世界に、魂を震わせてくれる世界に誘ってくれたひと
戻ってきた静香さんは
別人の様だった
軽やかで豪華で鋭さのあったそのひとは
見る影もなく
穏やかに疲れていた
HIVの発症
終わりは思っていたよりもずっとずっと
近くにいた
続く…
大和 尊の写メ日記
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逝年大和 尊