出張で海外に来ている。
思いきり、時差にやられている。
飛行機で眠れるように、
早めに食事を済ませて、
お酒は2杯まで。
機内に入ったらすぐに“おやすみモード”に入ったんだけど――
結局、寝つけなかった。
うとうとしている間に、朝の光とともに目的地に到着。
その日はもう、ぐだぐだだった。
何をしてもピントが合わないような、あの感じ。
でも、翌朝。
不思議なくらいすっきりと目が覚めた。
気づいたのは、目がかゆくないこと。
鼻もムズムズしない。
ああ、そうか。
ここには花粉がないんだ。
しかも、気温は20度前後。
寒くもなく、暑くもなく、心と体にちょうどいい。
春が、まっすぐに“春”として存在している。
この季節を素直に楽しめるって、ちょっとした幸せだなと思った。
ただ、ひとつ残念なのは――
桜。帰国した頃には、たぶんもう終わっている。
満開の桜を見られないのは、やっぱり惜しい。
でもまあ、花粉のない春とのトレードオフってことかな。
思えば何年か前も、似たようなことがあったっけ。
帰国したら、すっかり葉桜になっていた。
でもね、葉桜も悪くない。
風に揺れる新緑のやわらかさも、ちゃんと美しい。
そんなふうに思えるようになったのは、大人になった証かもしれない。
雪村 凪の写メ日記
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花粉のない世界雪村 凪