この日記は、過去を振り返りながら、
僕自身が当時の気持ちを思い出しつつ、
事実を書いています。
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30歳まであと2年。
今の状態から、
あと2年で役者として食べていけるような
成果が残せるはずがないことは、
誰の目から見ても明らかだった。
でも僕は、決断できずにいた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、
狭いワンルームの壁にぼんやりと影を落としている。
部屋には、サイズに似つかわしくない大きなパソコン。
そして、役者を始める時に買った観葉植物。
彼だけは立派に育っていた。
僕は天井を見つめたまま、ため息をつく。
僕の置かれた環境は、
役者を志した当時と大きく変わっていた。
最初は応援してくれていた友人も、
「まだ目指しているんだね」
と苦笑いを浮かべるようになり、
店長からも「いつまでやるつもり?」
と聞かれることが増えた。
バイト先にはもう後輩しかいない。
「あの人、あの歳で売れない役者やってるんだって」
そんな噂が耳に入るようになった。
最年長のバイト。店長と1歳しか違わない。
居心地は悪くなる一方だった。
家族も、僕の夢についてあまり触れなくなり、
気まずさを感じるようになっていた。
そんなある日、バイト先の後輩が
「就職が決まりました」
と言って辞めることになった。
仕事のできない早稲田の大学生。
僕には彼がそう映っていた。
「おめでとう!」
そう言ったあと、なぜかこんな質問をしてしまった。
「ちなみに、初任給はいくらなの?」
ただの興味本位だったのかもしれない。
彼のような仕事のできない人間に、
社会がどれほどの価値を感じるのか
知りたかっただけかもしれない。
彼は言った。
「年収で420万円です」
一瞬、言葉が出なかった。
「……え? 420万?」
彼は少し照れくさそうに笑いながら、頷いた。
420万円ってことは、月35万円。
僕のバイト代は月15万円ほど。
僕が2年かけて稼ぐ金額を、彼は1年で手にするのか……。
その瞬間、僕は人としての価値を測られたような気がした。
彼の半分の価値しかない人間。
とても惨めだった。
バイトの帰り道。
まだ暗くなる前の夕暮れ。
オレンジ色の光がアスファルトに長い影を落としている。
自転車を漕ぎながら、赤く染まる空を見上げた。
5年乗り続けているママチャリからは、
錆びたチェーンの音がした。
冷たい風が頬をかすめる。喉の奥が熱くなった。
この時の情景は、今も鮮明に思い出すことができる。
僕の人生はこのまま終わっていくのか?
夢も、希望も、お金も、何も手にしていない。
「……一度、ちゃんと働こう」
ぽつりと口からこぼれ落ちた。
29歳。まだ肌寒さの残る春の出来事。
(つづく)
雪村 凪( ゆきむら なぎ )
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雪村 凪の写メ日記
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雪村凪物語 〈第12話〉決断雪村 凪