〈雪村凪物語 第6話〉役者の道へ
この日記は、過去を振り返り、
僕自身当時の気持ちを思い出しながら
事実を書いています。
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役者の道を歩むことになった僕は、
学生まで借りていたアパートを解約し、
劇団から近いところに家を借りることになった。
当時25歳頃。地元を離れて5年が経過していた。
「家賃53,000円。1K、12平米、ロフト、ユニットバスか……」
契約書を前にして、少し迷った。
本当は、家賃35,000円、トイレ共同、風呂なし――
貧乏役者の基本フォーマットみたいなところから
スタートすべきなのかもしれない。
でも、僕にとって風呂なし生活は無理だった。
「銭湯代は毎日400円。ってことは、月15,000円か。
だったら、最初から家賃高めでもいいよな」
そんな計算をして、契約書にサインした。
こうして、僕の役者生活が始まった。
バイトをしながらの生活は、想像以上に大変だった。
劇団の稽古は週2回。それ以外の日は、
バイトをしたり、オーディションを受けたりする。
そんなある日、マネージャーから電話がかかってきた。
「オーディションあるけど、明日空いてる?」
「えっ、明日ですか?」
当然、バイトは休まなくてはいけない。
でも、そんな都合のいいバイト先なんて、そうそうない。
「すみません……ちょっと確認してみます」
電話を切ったあと、深くため息をついた。
これはもう、昼のバイトは無理だな。
結局、僕ももれなく深夜バイトの道へ。
運よく、ビジネスホテルの深夜勤務の仕事を見つけた。
ホテルの仕事のいいところは、仮眠が取れること。
「よし、これなら朝まで働いて、稽古にも行ける」
そう思ったのが甘かったと、
後になって気づくことになる……。
半年後、正式な劇団員になると、
舞台への出演も増えていった。
年に2回、大きな公演があり、稽古1カ月+本番1週間。
つまり、1.5カ月はバイトができない。
深夜にバイトして、そのまま一日中稽古――
そんな無茶をしていたら、案の定、体力が持たなかった。
「……ちょっと休憩……」
トイレの個室に入り、ドアを閉める。
「はぁ……」
気づけば、そのまま寝ていた。
「おい、大丈夫か?」
先輩にドアを叩かれて目を覚ます。
「大丈夫っす……」
そう言ってトイレを出たものの、
頭の中では「大丈夫じゃない」がぐるぐる回っていた。
もう一つ、大変だったのが チケットノルマ だ。
最初のうちは10枚くらいだったのに、
役がついてくると30枚、50枚と増えていく。
売れ残ったら、自腹。一枚4,500円。
バイト仲間に頭を下げ、友人に声をかけ、
なんとか毎回ギリギリでノルマをクリアする生活。
舞台役者として生き残れるのは、ごく一部の人間だけだ。
「プロダクション所属の人は、チケットノルマもないし、
給料も出る」
劇団の先輩がそう言っていた。
「あと、親が支援してくれる人な。
実家暮らしで、バイトしなくても食っていける人」
どちらにも当てはまらない僕は、
ひたすらバイトをしながら芝居を続けた。
芝居をするのは好きだったし、
スポットライトを浴びるのも楽しかった。
アレは本当に癖になる。
その麻薬に、みんなやられてしまうんだよな。
でも、それだけじゃ続けられない。
気づけば、家賃は2カ月滞納していた。
この劇団は人気があって、
翌年には海外公演も控えていた。
でも、僕は決断した。
「……退団しよう」
親に借金をしながら続ける仲間もいた。
でも、僕にはそれができなかった。
もう、これ以上親に迷惑をかけたくなかった。
こうして、僕の劇団員生活は 3年2カ月で幕を閉じた。
(つづく)
雪村 凪( ゆきむら なぎ )
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