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雪村 凪の写メ日記

雪村 凪

雪村 凪  (47)

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  • 学級裁判
    雪村 凪
    学級裁判

    男三人兄弟の真ん中。
    このパターンは、
    大抵ヤンチャな子供になるものだが、
    僕ももれなくその分類だった。

    活発で、足が速くて、勉強もできる方。
    みんなを引っ張り、
    何でも先頭に立ち、
    負けることが大嫌いだった。

    通知表には「優」が多かったが、
    必ず「落ち着きがない」と書かれていた。
    今だったらADHD(注意欠陥多動症)
    と診断されていたかもしれない。
    でも、本人としてはみんなを巻き込んで、
    楽しく遊んでいるつもりだった。

    ある日の中休み。
    教室に戻ると、真ん中に椅子が置かれていた。
    先生にそこへ座るよう促される。

    僕を「裁判」にかけるというのだ。

    「僕に嫌な気持ちをさせられた人、手を挙げて」
    と先生が言うと、
    ほとんどのクラスメートが手を挙げた。
    仲良く遊んでいたと思っていた友達まで——。

    その日を境に、
    野球やサッカーに誘われることはなくなった。
    声をかけても、仲間に入れてもらえなくなった。
    親にも相談したが「お前が悪い」と逆に怒られてしまった。

    それから僕は、先頭に立つことが怖くなった。
    欲求を抑え、人が嫌がることをしないよう、
    慎重に振る舞うようになった。
    それから程なくして、
    友達との関係も少しずつ良くなり、
    また遊びに誘ってもらえるようになった。

    大人になった今、
    目の前の人の気持ちを考えながら、
    楽しい時間をつくることに
    意識を向けられるようになったのは、
    あの学級裁判があったからだと思うことがある。

    しかし、誰かを追い詰めたり、
    傷つけたりするような方法で気づきを与えることは、
    決して良い方法ではないと思う。

    先生はもうこの世にはいない。
    あの経験は辛いものだったけど、
    間違いなく自分を成長させてくれたものでもあった。

    今改めて感謝を伝えたい。


    雪村 凪(ゆきむら なぎ)