夏のバナナは、変化が早い。
買ってきた日は
まだ黄色がまぶしいくらいなのに、
2日も経てば紫外線を浴びたかのように
黒い斑点が出始める。
通称「スイートスポット」。
人間界ではシミや日焼けが大敵でも、
バナナ界では“美味しくなった証拠”。
熟成した俺を早く食べてくれと、
メッセージを出している。
だが、そんなメッセージを無視して、
もう少し置いてもいいかな、と
さらに一日放置する。
そうなると、バナナ評論家の僕に言わせると、
微かに旬を通り越した味がする。
このあたり、夏のバナナのピークは本当に短い。
夏の恋愛のように。
だから最近は、
バナナからのメッセージを
しっかり受け止める努力をしている。
「おまえを一番おいしい状態で食べるからな」
バナナを常に見つつ、
無駄に未読スルーも既読スルーもしない。
これは「旬を逃さない」という
僕の食べものに対する誓いでもある。
秋山 純士の写メ日記
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『旬を逃すな』秋山 純士