足し算、引き算、掛け算──
それぞれ、なんとなく感覚でわかる。
増える、減る、倍になる。
数字の動きが、感情とリンクする。
でも、割り算だけは、
昔からピンとこなかった。
何かを分ける? 等しくする?
引き算とは、また違う。
人間関係でもよく耳にする、
「割り切った関係」という言葉。
利害を調整し、情を排して、
必要な分だけを分け合うような関係。
確かに、それはそれで合理的だ。
けれど、人生や人の気持ちは、
いつだって整数で割り切れるわけじゃない。
そこには「あまり」が出ることが多い。
1÷3は、0.333…
どこまでいっても、終わらない。
小数点の奥に続く無限の揺らぎは、
まるで“きもち”そのものだ。
「割り切れない」とは、
ただ未熟なのではない。
むしろ、そこにこそ深さがある。
割り切れない感情の中で、人は揺れながら、
それでも誰かを想い続ける。
無理にきれいな数字に揃えなくていい。
“このきもちは、まだ割り切れていない”
でも、それでいい。
その「あまり」こそが、
何より自分に誠実であり、
誰かを思い続ける証なのだから。
秋山 純士の写メ日記
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『きもちは“割り切れない”』秋山 純士