ときどき、
昔、誰かに言われたひとことが
何年も経ったあとに、
突然ふとよみがえることがある。
あのときは分からなかったのに、
今の自分には、すとんと落ちてくる。
それはまるで、心の奥に埋められていた
“タイムカプセル”が、
時を越えて開封されたような瞬間だ。
言葉は、すぐに届かないことがある。
どんなに思いを込めても、
そのときの相手には、まだ響かないこともある。
でも、だからといって、
伝えるのをやめてしまっては、もったいない。
言葉は、届かなかったように見えても、
静かに、確かに、誰かの中に残っていく。
そして、必要なときに開かれ、
その人の支えになることもある。
“今この瞬間に寄り添う”ことだけじゃない。
「まだ届いていない言葉」を、
そっと相手に預けることも、
時に必要なのかもしれない。
逆に、
いま自分には理解できない誰かの言葉も、
無理にわかろうとしなくていい。
その意味は、人生のどこかで自然とほどけてくる。
感情の中に埋められた言葉は、
ある日ふいに、意味を持って立ち上がる。
その瞬間のために、今日も僕は、
言葉を選び、届けることをやめない。
秋山 純士の写メ日記
-
「脳のタイムカプセルに願いをこめて」秋山 純士