6月の街には、
色とりどりの傘が咲く。
傘を差し出す仕草、
かすかに水滴をまとったワンピース、
濡れたアスファルトに響く、静かなヒールの音。
晴れの日には見えない、
誰かの新しい一面が
雨の日にはふと、顔を出す。
どこか不意打ちのような、
その姿に、心を奪われる。
傘の下で少し傾けるその横顔。
髪に落ちた雫を払う手元の動き。
“相合傘”には、まだ抵抗があるふたり。
でも──傘をさしたまま目を合わせる距離は、
いつもより、すこし近い。
雨の日の傘は、ただの道具じゃない。
それは仕草になり、表情になり、
ときにファッションより雄弁に、
その人の魅力を語ってくれる。
もし今日、
あなたと誰かがひとつの傘に入ることがあれば──
それは、
新しいふたりが始まる予感なのかもしれない。
雨の季節。
それはほんの少しだけ特別な、
ふたりだけの物語の入り口。
秋山 純士の写メ日記
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『雨のち、新しいふたり。』秋山 純士