徐々に近づいてくる夏。
気温も上がってきている6月半ば。
僕が手に取るのは、
あつあつのホットコーヒーだった。
冷たい飲み物が心地よい日でも、
“味”を楽しみたいとき、僕はホットを選ぶ。
逆に、寒い日に冷たいざるそばをすすったりもする。
それは、僕は多くの場合、
「体感の心地よさ」よりも「味覚」を重視しているから。
たとえば、アイスコーヒーは飲みやすいけど、
ホットのほうが、豆の風味が際立つ。
コーヒーは「喉を潤すために飲む」のではなく、
「心を潤すために飲む」。
僕はコーヒーを一気飲みしたいわけではない。
一気飲みに適するのはビールかプロテインだ。
そばだって、冷たいほうが、
出汁とそばそのものの味の輪郭がくっきりする。
つまり僕は、体感的な快・不快よりも、
「欲しい感覚の明確さ」を優先するタイプなんだろう。
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女風でも、こんな選択の感覚に似たことがある。
ホテルでじっくり“向き合いたい”のか、
それとも、デートで一緒に“過ごしたい”のか。
どちらが正解というわけじゃない。
どちらも大切だし、どちらにもそれぞれの良さがある。
そして何より、人には選択するときの気分がある。
ただ、それを選ぶ時、
人は意外と「状況」よりも
「欲望の輪郭」で選んでいる場合も多い。
暑いからアイス、ではなく、
ホットのほうが「味わえる」と思ったからホット。
それと同じで、
「ただ抱きしめられたいから」ではなく、
「ちゃんと、この人と向き合いたい」からホテルを選ぶ。
選択には、“その人らしさ”がにじむ。
それが、どんなに小さなことでも。
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『Hot or Ice?』
その一杯には、
今日の自分の欲望が映っているのかもしれない。
秋山 純士の写メ日記
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『Hot or Ice? 欲望の輪郭を探る』秋山 純士