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秋山 純士の写メ日記

秋山 純士

秋山 純士  (40)

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  • もう泣かないと決めた日【序章】
    秋山 純士
    もう泣かないと決めた日【序章】

    タイトルを見て、
    「お、今日は秋山の日記では
    珍しく感動系のエピソードか!」
    そう思われた方、大変カンがいい!
    もちろん感動系のお話ではありません。


    のっけから読者様の期待を裏切るようで
    大変恐縮です。
    とりあえず、
    怒りを鎮めて読み進めていただければ幸いです。


    昨日、お昼にお蕎麦を食べていたら、
    誤ってわさびを口に入れすぎてしまい、
    思わずむせて涙を流しそうになりました。
    その瞬間に、あの時の記憶が蘇ったのです。
    そう、
    「俺はもう泣かない」と決めた日。


    時は平成時代の末期。
    秋山という一人の青年が
    寿司屋で修業をしていました。
    入店して1年目の彼が、
    どうしても涙を流してしまう業務がありました。
    それが宴会用のわさびの仕込みです。
    ここからは企業秘密になるので、これを読んだ方は
    絶対に口外しないでほしいのですが、
    彼が勤めていた寿司屋では、
    お店で提供するお寿司の他に、
    ホテルの宴会場にお届けするお寿司がありました。
    数百名単位の桶盛を作ることもざらで、
    当たり前ですがそのような大人数のお寿司用に、
    本物のわさびをすりおろして使用することは、
    原価的にも人員的にも不可能です。


    そこで登場するのが「粉わさび」です。
    これは粉と水を混ぜて実際のわさびの質感に
    近いように仕上げていくのですが、
    これを作っていく工程で、
    強烈なわさびの粒子?が空気を伝わってくるため、
    作り手が涙を流さずにはいられないという、
    痛みを伴う伝説の作業となっておりました。
    今風に言うと
    「ワサハラ(wasabi harassment)」
    みたいな感じですね。
    先輩方はその涙を見て、
    「お、今日は粉わさびの仕込みの日か」
    と判断するほどです。


    当時若かりし秋山はふと思いました。
    「悲しくもないのに、
    こんなに涙を流してもよいものか。
    女性に涙を流させてはいけないが、
    漢である俺がこんなに泣いたところで
    誰も得をしない」
    そこで彼は、ある秘策を考えついたのです。
    (明日へ続く)