FIRST CLASS

東京/出張ホスト/東京23区から全国出張可能

秋山 純士の写メ日記

秋山 純士

秋山 純士  (40)

プロフィールを表示

  • 【後編】究極のまかないと夫婦愛
    秋山 純士
    【後編】究極のまかないと夫婦愛

    (前日の日記からの続き)
    寿司屋の大将との会話の中で、
    寿司だけでなく、和食全般にも興味があり、
    いろいろな技術や知識を
    身につけたいと考えていることを伝えると、
    大将の知り合いの和食の料理人の方と
    出会うきっかけをいただけた。


    そんなこんなで、
    その和食店でも手伝わせていただくことになり、
    それからというもの、
    昼は寿司屋、夜は和食店という、
    かけもちのダブルヘッダーという
    素晴らしい休日の仕組みが出来上がった。


    和食店の方は、
    大将と奥様の二人で営業されている
    こじんまりとした店だった。
    こちらの大将は元祖チョイワルという感じの見た目で、
    厳しく注意されることもあったが、
    非常に丁寧に仕事を教えていただき、
    寿司屋では扱えない食材や調理法等まで
    幅広く学ぶことができた。


    営業が終盤になると、
    「よし、今日はあれにするか」
    と言って、営業が終わった後に自分で食べるまかないを、
    大将に教えてもらいながら自分で調理した。


    まかないの時間はほっと一息タイム。
    奥様がご飯をよそってくれて、
    自分が作ったまかないを食べながら、
    大将がまた次から次へと気の利いた一品を出してくれる。
    もはや質・量ともに外食で食べたら
    数千円はかかるというレベルのまかないだった。
    大将の作る料理はプロの味であるとともに、
    そこに愛情が感じられた。
    一種の優しさが料理の中に表現されているのである。


    大将は一仕事を終えると穏やかな顔になる。
    奥様は大将が厳しいときもご機嫌な時も、
    穏やかにそれを包み込んでくれるような優しい方だった。
    そんな二人に囲まれながらいただくまかないの時間は、
    まさに第二の家族と団らんの時間を過ごしているようだった。


    まかないをいただき、
    帰宅するときは奥様が何かしらのお土産をくれた。
    有難くいただきながら、自転車で店を後にする。
    僕が見えなくなるまで奥様はお見送りをしてくれた。


    今思えば寿司屋でも和食店でも、
    学んだものは決して技術的なものだけではなかった。
    むしろそれ以外の人のあたたかみや、家族のような関係、
    夫婦愛を目の当たりにしたことは、
    当時20代で一人暮らしをしていた自分にとって、
    普段なかなか感じることのない感情を
    呼び起こしてくれる貴重な経験だった。


    調理職を離れた今、
    当時培った技術を使うことはなくなってしまったが、
    その環境にいた時間と記憶は
    いまだにかけがえのないものである。
    いつかまたあの時代に出会えた人たちに
    再会する機会があるのなら、
    改めて感謝を伝えたい一心である。